時計の修理を依頼する前に知っておきたい基本知識をまとめてみました!
腕時時計の種類
まず、時計はムーブメントによって大きく2つに分かれます。
「機械式時計」
「クオーツ式時計」
です。
※ムーブメント=時計内の動力機構のことです。
機械式時計とは
巻き上げられたゼンマイが、ほどけるときの力を動力とするムーブメントを持っている時計のことです。
そして機械式時計の中にも、「手巻き式」と「自動巻き式」の2種類あります。
- 手巻き式:リューズを指で回すことでゼンマイが巻き上がる。
- 自動巻き式:ローターが回転し、自動でゼンマイが巻き上がる。
※リューズ=「竜頭」とも書く。文字盤でいうところの3時の横についてる突起部品。タイプにより、引っ張ったり押し込んだりできる。
※ローター=振動を受けることで回転し、自動的にゼンマイを巻き上げる部品。
クオーツ式時計とは
電池とステップモーターを動力源にしている時計のことです。
「ボタン電池式」「ソーラー充電式」「電波時計」などがこのクオーツ式時計にあたります。
修理内容
【症状別修理 早見表】
時計の症状 | 修理内容 |
---|---|
時間がズレる(クオーツ) | 電池交換 |
磁気帯び除去 | |
オーバーホール | |
時間がズレる(機械) | 歯車摩耗 |
油差し | |
オーバーホール | |
ケース・ベルトの傷 | 研磨 |
ガラスに水滴がつく・くもる | パッキン交換 |
オーバーホール | |
ガラスに傷・割れ | ガラスの交換 |
中留が閉まらない | 中留金具(クラスプ)の交換・修理 |
針が取れた | 針の取り付け穴のカシメ直し |
部品交換 | |
変な音がする | オーバーホール |
ボタンが反応しない | 部品交換 |
オーバーホール | |
カレンダーが変わらない | 油差し |
部品交換 | |
オーバーホール | |
12時の位置がズレる | 文字盤交換 |
ロー付け・レーザー溶接 | |
リューズがおかしい | 油差し |
パッキン交換 | |
オーバーホール |
オーバーホールとは
時計を部品単位まで分解して、清掃・再組立てし、新品時の性能まで戻す作業のことです。
時計の「健康診断」って呼ばれてるらしいよ!
【オーバーホールの手順】
1 | 時計を分解 |
2 | ムーブメントの洗浄 |
3 | 部品交換(必要であれば) |
4 | ムーブメントの注油と組み立て |
5 | タイミングの調整 |
6 | ケースとブレスレットの仕上げと研磨 |
7 | ケースの再組立て |
8 | 防水性検査 |
9 | 最終的な品質確認 |
以上が、オーバーホールの基本的な手順となります。
1度完全にバラして、各パーツの消耗具合などを確認するので、完了までに数か月かかることもあります。
オーバーホールが必要な理由
機械式時計はどうしても、部品と部品の摩耗が生じてしまいます。また、摩擦が生じる部分の油が劣化・酸化するため、約3~4年ほどで油切れになります。
油が切れた状態での使用は、さらに部品の摩耗を促すことになり、時計自体の寿命を早めてしまうことにつながるため、定期的に行う必要があります。
オーバーホールの頻度
- クオーツ式時計:3~4年に1度
- 機械式時計:2~3年に1度
クオーツ式時計の場合は、「電池を交換したばかりなのに、すぐに動かなくなる」と感じるようになったら、オーバーホールをする目安です。
機械式の場合は、3年程度でどうしても油が切れて部品の摩耗が進んでしまうので、上記の頻度を目安にオーバーホールすることがおすすめです。
オーバーホールの修理期間
使っているモデルなどで変わってきてしまいますが、基本的には1か月か、それ以上かかるつもりでいましょう。
久しぶりにオーバーホールをする場合などは、部品が摩耗しており、交換の部品を取り寄せるのにも時間がかかることもあります。
外装修理
基本的には、裏蓋を開ける必要がない修理のことを言います。
リューズやボタンの外れ |
ネジ、ネジ穴の不具合 |
ケースのキズ、装飾外れ |
針外れ |
バンドなどの不具合 |
内装修理
基本的には、裏蓋を開ける必要のある修理のことを言います。
時刻の遅れ、進み、停止 |
そのほか、各種機能が働かない |
電池交換
時計内部の電池を交換する作業のことです。
時計の修理の中では、作業時間が短く済むことが多いです。
防水検査
防水時計の、防水性の検査をします。
どうしても経年劣化してしまうパッキンの交換とセットになっている場合が多いです。
時計の機能
クロノグラフ
通常の時刻表示機能以外にも、ストップウォッチの機能が搭載されている時計のこと。
CMT(グリニッジ・ミーン・タイム)
イギリスのグリニッジ天文台での天体観測をもとに決められた標準時間とし、24時間で1週する針を持ち、複数の時間帯を表示できる時計のこと。
パーペチュアルカレンダー
月ごとに変わる日数の違いや、4年に1度来る「うるう年」の微調整などを自動でしてくれる機能を持っている時計のこと。
ダイバーズ
海へ潜水するときにでも使える、高度な防水処理がされている時計のこと。
パワーリザーブ
機械式時計の手巻きタイプの場合は、放置していると駆動が止まってしまい新しく巻き直さなくてはならなくなるのだが、その稼働時間を教えてくれる機能のこと。
トゥールビヨン
重力によって生じる機械式腕時計の誤差を、補正してくれる複雑な仕組みをもった時計のこと。
時計修理に関する資格
時計修理技能士
時計修理技能士とは、精緻な職人技を要求されるアナログ時計の修理技術を認定する国家資格のことです。
受験するためには、1年~7年以上の実務経験が必要であり、時計修理の技術力を評価するために国が認定した技能検定!
私たち利用者が技術力を知ることは難しいですが、こういった資格を1つの指標として、利用するかどうか検討することは大切です。
以上が、時計の修理をする前に知っておきたい基礎知識でした!