腕時計はどんなに大切に使っていても、時計内部の劣化や摩耗が生じてしまします。
少しでも長く愛用し続けるためには、日々のメンテナンスが欠かせないよ!
そこで、時計のメンテナンスとして重要だといわれている「オーバーホール」に関する基礎知識や依頼するときのポイントをご紹介します。
オーバーホールの基礎知識
「オーバーホール」とは、時計が正常に動くように、すべての部品を分解してメンテナンスすることをいいます。私たちでいうところの人間ドックのようなイメージです。
時計内部には細かな部品がいくつもありますが、その細かな部品をひとつひとつ点検し、破損や汚れを見つけ、見つけた不備のある部品は、修理や交換、洗浄をしてキレイにします。
この「オーバーホール」という呼び方は、時計だけではなく、車やバイク、ピアノやサックスなど分解して内部を洗浄するときにも使われます。
オーバーホールの流れ
では、実際にどのような作業手順で、オーバーホールが行われるのか確認していきましょう。
1.外観のキズや動作の状態のチェック
時計を分解する前にまず、腕時計の外観の状態を確認します。見る場所は、正常に動作しているか、防水機能は損なわれていないか、ガラスやバックル、ストラップのキズなどはないかなどです。
2.ムーブメントの分解
専用の工具を使用して、裏蓋を開け、ムーブメントを分解します。ここでも、各パーツに異常な部分がないか細かく確認し、不具合が起きてしまっている個所や、交換・調整が必要な部品がないかしっかり探し出します。
※ムーブメント……時計の動力部分のこと
3.部品の修理・調整・交換
ここまでの工程で分かった不具合のある個所の修理や調整を行います。劣化しているパーツがあった場合には、部品の交換をします。
4.部品の洗浄
分解したムーブメントや時計の細かなパーツは、特殊な機械を利用して、薬品や洗浄方法を変えながらしっかりと汚れを落としていきます。これにより、劣化した潤滑油や摩耗粉などの汚れを落とし、新品に近い状態に仕上げます。
5.研磨・組み立て・注油
ケースやブレスなどの各パーツは研磨され、洗浄が終わった部品は、注油されながら組み立てられていきます。オイルの種類や量、注油する必要がある個所は、時計により様々なため、メーカーが定めた基準に基づき作業します。
6.ケーシング・性能確認
内部を見るために外しいていた文字盤をムーブメントに取り付けた後、針をセットして研磨したケースに戻します。改めて、時計の外観や防水性などの確認をします。
7.動作テスト
ケーシングが終わると、針回し、日付変更、ゼンマイの巻き上げなどの最終点検をします。以上すべての項目をクリアして、オーバーホール完了となります。
※ケーシング……ホコリや傷をつけないように、ケースとムーブメントを組み合わせ、時計を元の状態に戻すことをいいます。
オーバーホールする3つのポイント
オーバーホールを依頼するときに必ず頭に入れておいてほしい重要なポイントが3つありますので、知っておきましょう。
1.動作不良などしっかりと申告しましょう
はっきりとした動作不良がある場合は、「何が原因か」「どんな状態か」「いつから動作不良なのか」など、時計の状態を十分に申告しましょう。事前に症状を知っているか知らないかでは、作業の進み具合が変わってきます。
また、表面のキズは新品のように目立たなくさせることはもちろん、思い入れがあり「残しておきたいキズ」などがある場合には、そのことを伝えておくことで、要望通りに仕上げてもらうことができますよ。
2.修理中に使う代わりの時計を用意しておく
オーバーホールは、すでに説明しているとおり、部品を一つ一つ入念なチェックをしています。そのため、メンテナンスを完了させるのに多くの日数を必要とします。取り寄せが必要な部品などがあると、1か月かかってしまうなんてことがザラにあるんです。なので、その期間、時計が無くて困ることがないように、あらかじめ代わりの時計を用意しておきましょう。
3.見積もりを出してもらう
外側から見ただけでは分からない修繕個所がある場合があります。そのため、かかる費用は実際に中を開けてみないとわからないんです。見積もりをもらわずにオーバーホールを依頼してしまうと、思っていた以上にお金がかかってしまうケースがあります。
お互いに揉め事の種になってしまうこともあるので、しっかりと見積もりをもらってから依頼をするようにしましょう。提示された金額に納得できない場合は、他の修理店に依頼するのも手ですよ。
まとめ
以上が、オーバーホールについて知っておきたい基礎知識でした。
冒頭でも言ったように、オーバーホールは私たちでいうところの人間ドックのようなものです。普段はなかなかすることができない時計内部のケアをすることで、不具合個所を早く見つけ、修理できないほど状態が悪化してしまうのを防ぐことができます。
愛用の時計を長く使い続けるためにも、日頃のメンテナンスのほかに、ぜひ定期的なメンテナンスとして「オーバーホール」をしてみてください。
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